酒税の値上がり (2017/8/1) 山田 雄一

今年は連日暑い日が続いております。皆様いかがお過ごしでしょうか?
赤羽は立ち飲み屋が多いので、帰り道、ついつい足を止めてしまいます。暑い夏はビールがとてもおいしいですよね。 今日はお酒についてお話ししたいと思います。

日本では、お酒に対し、酒税法に基づき、酒税が課税されております。酒税は消費税と同じように一般消費者がお酒を買うときに負担しますが、税金を納めるのはメーカーです。 皆さんが買うお酒には一体いくらぐらいの酒税が課税されているかご存知でしょうか? 酒税法では日本酒ならアルコール分が22度未満で、1キロ・ℓ当たり120,000円の酒税、焼酎ならアルコール分が25度で、1キロ・ℓ当たり250,000円の酒税、ビールなら1キロ・ℓ当たり222,000円の酒税、果実酒なら70,472円の酒税と定められています。

350ml缶当たりですと、酒税はビール77円、発泡酒47円、第3のビール28円となっております。現在、缶ビールだと税込250円位でしょうから酒税77円とは税抜価格の44.5%が酒税です。 いかがでしょうか?ビールの酒税がアルコールの割に突出して高いと思いませんか?その偏った税制のため、発泡酒や第3のビールといったものが生まれてきました。 日本の酒税総額の約7割はビール、発泡酒、新ジャンル商品で占められています。簡単に諸外国と比較はできませんが、国税に占める酒税の割合も、日本が3%なのに対し、ドイツ0.7%、アメリカ0.8%と、日本が高いのがわかります。さらにその中で、ビール大瓶1本あたりに占める酒税負担額で比較すると、日本の139円に対して、ドイツは8円(日本の1/17)、アメリカ14円(1/10)、フランス29円(1/5)と極めて高いものになっています。 さらに最近ビール愛飲家にとってショックを受ける出来事がありました。

2017年6月1日から改正酒税法が施行され、ビール類を値上げする動きが出始めています。どんな改正であったのかといいますと 量販店やディスカウント店での過剰な安売りを防ぎ、中小の酒屋の競争力を高めて酒屋の経営を安定させるため、

①酒類業者(製造・卸・小売)は正当な理由なく、総販売原価以下での酒類の安売りを繰り返してはいけない。
②金額の根拠が明確でないリベート(販売奨励金)をしてはならない。

といった内容になっております。

改正酒税法では原価を割る販売がなされた場合、国税庁は行政指導が行えるようになり、最悪酒販免許の取消等につながるため、非常に厳しい改正であったといえます。 この酒税法の改正を受けて、まずビールメーカーや卸業者は、販売店へのリベートを減らすなどの対応を進めました。多くのスーパーや量販店では店内広告やチラシで6月からの値上げを予告していましたよね。どの程度値上げになっているのかは改正酒税法では基準がないため量販店によってまちまちだそうですが、大体コンビニと変わらない値段になってきているようです。 また飲食店にも影響が出ています。卸業者から安くビールを仕入れて安く販売していた飲食店ではビールの値段が上がっている可能性があります。 我々ビール愛飲者からは、ビールの値段が上がるのは嫌だという声が多いですが、これも適正なコストを負担するため仕方がないことなのかもしれません。

それより高いビールに対する酒税を下げてほしいという願いが強いですが、ビール・発泡酒・第3のビールは平成32年10月、35年10月、38年10月の3段階で350ml缶あたり54.25円に酒税が統一されます。ビールは現在の77円から減税に、発泡酒は46.99円、第3のビールは28円から増税になります。ビールの価格が下がるのはうれしいですが発泡酒などが値上がりするのは残念ですよね。これからはビールに関する法改正や価格変動にも注目しながら、暑い夏をビールで楽しんで乗り切りましょう!