愛着障害って知っていますか?(2012/8/29)山田大介

あまり聞きなれない言葉ですが、「愛着障害」という概念があります。

明確な定義がある言葉ではないので、
研究者によってその内容にばらつきがあり、また愛着障害などというと
大げさなイメージですが、おおまかには「子供の頃の体験により、
普通の人と比較して人との接し方に問題がある性質」
のことです。
現代人の3分の1が、広い範囲での愛着障害に該当しているという説もありますので、
知っておかなければならない概念の一つといえます。

愛着障害を抱えている人にどのような傾向が見られるかは、
人によって様々で、おおよそ3つのパターン(回避型、不安型、恐れ・回避型)
に分類することができますが、次のような共通する傾向があるそうです。

・親に敵意や恨みがあるか、または過度に従順
・信頼や愛情が不安定
・人と適切な距離を取れない
・傷つきやすく、否定的な反応を起こしやすい
・ストレスに弱く、うつ等になりやすい
・怒りの攻撃対象を事実や事件ではなく、人に向けやすい
・過去にとらわれやすい
・周囲の言動に過剰反応しやすい
・「全てか無か」になりやすい
・過度に意地っ張りで、こだわりやすい
・自分の可能性を試すことにじっくり取り組めない
・行動が場当たり的
・依存症に陥りやすい
・青年期につまづきやすい
などなど・・・

そもそも、愛着障害になる原因はなんでしょうか?
冒頭にもありますが、子供の頃の体験が重要だと考えられています。
「三つ子の魂百まで」ということわざもありますが、
愛着障害においては生後6ヶ月から18ヶ月の期間が重要で、
その頃に母親や母親役の養育者など”特別な1人から安定した十分な愛情”が注がれなかった場合、
虐待、育児放棄などに遭った場合に愛着障害になりやすいとのことです。

また、愛着障害を抱えた人は自分の子供にも適切な愛情を注げないため、
その子供も愛着障害になってしまう可能性が高いそうです。

愛着障害は人や書物との出会いなどで緩和され、
大人になる頃には2割から3割の人が克服するそうですが、
現状、有効な治療法(?)は確立されていません。
育児介護休業制度等の育児を支援する制度もありますが、
夫婦共働きの家庭ではまだまだ十分な育児の時間をとれないのが
現状ではないでしょうか。

地域ぐるみで、母親が育児のために時間を割けるシステムの構築が望まれます。