デンサー節(2012/5/30)平塚忍
BEGINの歌に『島人ぬ宝』という歌があります。
その歌詞の中に「トゥバラーマもデンサー節も言葉の意味さえわからない」
とあるのですが、この「デンサー節」は私の先祖の宮良里賢が1768年に作った民謡です。
当時八重山の役人だったのですが、
石垣島から西表島に赴任された時に西表島の統制をとるため、
読み書きの教育を受けていない村人達を強引に説諭するのではなく、
心得るべき事柄を自然と口ずさめるように唄にしたものです。
私も言葉の意味がわからないのですが。。。少し紹介します。
「島持ちとぅ家持(ヤームチ)ち 船乗りとぅゆぬむでん
船頭船子親子(シドゥフナグ)親子(ウヤファ) 揃(スラ)にばなぬ デンサ」
⇒ 島の統治と家庭の営み舟の操縦と同じである。船頭と船子のように
親子も協力しなければ前には進まない。
「親子かいしゃー子から 兄弟かいしゃー弟から
きない持ちかいしゃー嫁の子から デンサ」
⇒ 親子のよい関係は、子供の理解からである。
兄弟の関係は弟が出方のよさである。
家庭では嫁の調和と理解である。
「むにいさざ慎め 口(フチ)ぬ外出(フカン)だすなよ
出(ウ)だしたら 又ん飲みぬならる デンサ」
⇒ 言葉は慎重にしなさい。 軽率な発言はしてはならない。
一度口走っててしまえば取り消しはできない。
石垣島は、門と母家の間に魔よけとも台風対策ともいわれる
「ヒンプン」と呼ばれる屏風状の壁があるのですが、
男性は一番座がある右側、女性は台所がある左側から入らなければいけなかったし、
今でも母の実家は法事を行う際、男性客が帰った後に女性客が始まる様、
男女で開始時間が違います。この「デンサー節」も子供は親の言うことを聞きなさい。
嫁は謙虚でありなさいという歌詞が多く目立ちます。私も含めて働く女性が多い現代、
昔の人にならって謙虚にかわいらしく過ごしていけたらと思います。