学校法人会計に資金繰りのヒント?(2011.3.30)

第80回は、資産税事業部 小林 仁による
「学校法人会計に資金繰りのヒント?」
をお送りします。

私は、学校法人のお客様をいくつか担当させていただいていますが、一般の会社の経営者の方にも、学校法人会計を参考にすることで資金繰りのヒントが得られるのではないか?と考えています。

これからその理由をご説明したいと思いますのでお付き合い下さい。

まず、公益法人である学校法人は、利益そのものよりも実際の資金繰りや、校舎や土地などがちゃんと守られているかを
重要視しています。

そのため、学校法人の財務諸表は、資金収支計算書が始めにきます。
(これは一般の会社の資金繰り表にあたります。
資金繰り表に作成義務がないことは、皆様ご存じの通り。)

また、貸借対照表は、不動産などの固定資産から記載されます。
(一般の会社であれば現金化しやすい流動資産から記載されます。
これらの違いはあるものの、基本的には一般の会社と作成書類はほぼ同じです。)

つまり、ちゃんとお金が回るか、学校運営の基本となる不動産を守っていけるのかがとても重要だということです。

では、一般の会社ではこれらは重要ではないのでしょうか?

中小企業の経営者の多くがどれぐらい儲かっているか(損益計算書)にばかり注目し、どれぐらい財産と借金があるか(貸借対照表)には、あまり注意を払わない方が多い気がします。

実際には、貸借対照表と損益計算書は表裏一体の関係です。
財産と借金の残高を確定すれば利益も自動的に計算されます。

つまり、貸借対照表をないがしろにすると利益が出ているのにお金がない、財産が守れない、その果てには倒産といった危機に陥る可能性もあります。

貸借対照表をしっかり見れば、資金の流れもしっかり把握することができます。
もちろん、利益を出すことが財産を増やし、借金を減らすことの基本にはなりますが、貸借対照表を無視しては余計に資金繰りが苦しくなるケースも多くあります。

学校法人と同じ書類を作成する必要はありません。
けれども、利益がどれぐらいでているかだけではなく、きちんと貸借対照表を確認し、財産状態をしっかり把握することが大切だと
私は一般の会社経営者の方にもお伝えしたいと思います。

次回、第81回は、巡回訪問事業部 小林代司幸による
「シルバー人材センターで人件費削減?」を予定しています。お楽しみに!